戸境壁が「乾式工法」には問題有り-1

「購入相談」の依頼を受け新規分譲マンションの総合パンフレットや図面集を見ますと最近特に増えたのが,住戸と住戸の間の戸境壁(こざかいかべ)の材質が「湿式工法」の鉄筋コンクリート造でなく「乾式工法」を採用してボードを採用している事です。

超高層マンションの様に高さ60m以上(20階以上)のマンションですと,建築基準法上軽く作らないとならないので外壁には軽いALC版(軽量気泡コンクリート板)にして,戸境壁には「乾式工法」を採用していますが,軽量化しているので遮音性にはかなり疑問が有ります。

高さ60m未満(約19階以下)のマンションでは,外壁も戸境壁も鉄筋コンクリート造でできますので,外壁からの雨水の浸入の心配もなく,上下階住戸や隣戸の遮音性も良いのですが,重くなると柱や梁を頑丈に鉄筋を太くしなければならないので構造の費用が若干高くなります。

そこで最近の新規分譲マンションでは構造費用を安くする為に高さ60m以下のマンションでも住戸と住戸の間の戸境壁を遮音性の良い鉄筋コンクリート造を採用せずに「乾式工法」でボードを貼った壁を採用しているのです。

「乾式工法」の戸境壁の説明を分り易く御説明致します。

「乾式工法」とは軽量鉄骨(LGS)を立てその両側に不燃石膏ボード厚さ12.5ミリの物を二重張りし,太鼓状態にしています。

太鼓状の中にグラスウールを入れ気休めの遮音性を確保しています。
軽量鉄骨の間柱の両側に厚いボードを貼っても遮音効果はほとんど期待出来ません。片側の住戸の音がボードを震わせ振動が軽量鉄骨の間柱を伝わって隣の住戸側のボードが更に大きく震えて音を伝えてしまうのです。この現象を建築業界では「太鼓現象」と言ってほとんど遮音効果は無いと言われています。

この工法より少し遮音効果を上げる工法は,片側の住戸の戸境壁下地の軽量鉄骨間柱と,隣戸側住戸の戸境壁下地の軽量鉄骨間柱を「チドリ状」にして離して立て,各々の住戸側の間柱に厚いボードを二重に貼り,ボードとボードの間に上から見たら波形にグラスウールを充填する工法です。軽量鉄骨の間柱が隣戸の間柱と離れているのでボードの振動は直接伝わらないので若干,遮音性能は期待でしますが,鉄筋コンクリート造(湿式工法)の壁の遮音性には負けます。

やはりこの工法でも片側の住戸の寝室の隣に隣戸の浴室が有ると遮音性は期待できません。

乾式工法の戸境壁で遮音性を高める方法は無いのかと聞かれますと,私は湿式工法(現場打ちコンクリート壁)までには及ばないが有りますと答えます。

この続きは長くなりますので,次回詳しく具体的に御説明致します。

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