玄関扉に注意-3

今回も玄関扉のお話を致しましょう。

前々回は玄関扉の形状に依って防犯性が高められる事を御説明致しました。また前回は同じく玄関扉の形状に依ってお子様方が手を挟んで怪我をしない扉が有る事の御説明でした。

今回は玄関扉の設置位置に依って使い勝手が良くなる事を設計者の視点で御説明致します。
建築用語はなるべく使わずに御説明いたしますのでまわりくどい説明になってしまいますが御容赦下さい。

以前このコラムの#116で玄関扉が耐震仕様になっていても大梁下に設置するのは大きな地震で変形し,開けられなくなるので良くないと申し上げました。

その為に玄関扉が設置されている壁の位置を住戸の廊下側の壁より約90センチ以上奥まらせなければなりません。

玄関扉前に奥まったアルコーブ(壁面に作られたくぼみ)状のスペースができてしまい,これを日本ではポーチと呼んでいます。

さてここで良識ある売主はこのポーチの幅(玄関扉が付いている壁の長さ)を内法寸法で最低でも1メートル35センチ確保致します。ポーチ両脇壁(玄関扉が付いている壁と直角な壁)の壁芯々寸法では1メートル50センチ以上確保になります。

この寸法以下ですと玄関扉が90度以上開く事ができなくなる可能性が大です。

理由は玄関扉の丁番側の枠をポーチ脇壁にぴったりと設置してしまう事になるからです。

玄関扉には把手と称してレバーハンドルやパニックオープン型のハンドルが付いています。
このハンドルが玄関扉表面より約8センチ位突き出ています。

ですので,玄関扉を開けた時に90度以上開く為には丁番側の枠とポーチ脇壁との間に幅約10センチ以上の壁を設ける事が必要なのです。

丁番側の枠の脇に10センチ以上の壁が有れば玄関扉を90度以上開いてもハンドルがポーチの脇壁に当りませんので大きな物の出し入れや救急車のストレッチャーがスムーズに通れます。

ここで,先程何故1メートル35センチ以上と申し上げた根拠を御説明致しましょう。

マンションの住戸の玄関扉の幅は通常80センチ(高級マンションは85センチ~90センチ)で両脇の枠の幅が1本3センチで2本ですから6センチで合計86センチになります。
それに先程申し上げた丁番側枠脇の壁の幅が10センチで足しますと96センチです。

ポーチ正面の玄関扉が付いている壁の最低必要寸法が135センチですから135センチマイナス96センチは39センチです。この40センチ弱の39センチのスペースが扉を開いた時の退避スペースなのです。ちょっと身体が大きい人には窮屈なスペースです。

またこの39センチは玄関扉のハンドル側の枠の脇の壁の長さです。
ここに表札,ドアフォンや新聞受け等が設置されるのです。

玄関扉の開き角度は理想を言えば約105度です。そこまで開けば扉を開けた時に枠と扉ハンドルとの有効開口幅が80センチ確保できます。

住戸内の木製扉の設置位置も同様に丁番側枠脇に幅約10センチの小壁が有れば扉は90度以上は開きます。

ちょっとした事ですが今までお話した事は設計の「イロハ」です。この事を知らない設計者はマンションや住戸の設計には向きませんので要注意です。

モデルルームに行かれたら玄関扉の形状と設置位置はしっかりと確認して下さい。

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