「アンボンドスラブ」について

先日,「住宅金融支援機構」(旧住宅金融公庫)でセミナーを行なった際に参加者から「アンボンドスラブ」についての質問が有りました。
皆様の中にも「アンボンドスラブ」に疑問をお持ちの方がいらっしゃるかと思いましたので今回は「アンボンドスラブ」についてのお話を致します。

「アンボンドスラブ」とは簡単に御説明致しますと,スラブの中に「鋼線」を通して建物の両サイドでその「鋼線」を引っ張ってスラブを支え小梁を必要としない「スラブ」です。

小梁が天井に出ないので意匠的にはすっきりして良いのですが,重量衝撃音の遮音性が低く上階の音がよく聞えるので最近のマンションではほとんど採用されなくなりました。

更に「アンボンドスラブ」の大きな欠点を昔,構造設計者から聞きましたのでお伝え致します。

「アンボンドスラブ」採用のマンションの住戸で火災が発生したらその住戸の天井上の「アンボンドスラブ」が熱せられます。
火災の場合かなりの温度で熱せられますので「アンボンドスラブ」の中の引っ張られている「鋼線」が熱で延びてしまいスラブが垂れ下がる懸念があるとの事です。

問題はその火災を起こした住戸上の「アンボンドスラブ」が部分的に垂れ下がるのなら部分的に直せば良いのですが, 「アンボンドスラブ」の場合は中に入れている「鋼線」を建物の両端から引っ張っていますので,火災を起こした住戸上の階のスラブ全体が波形の様に垂れ下がってしまう恐れが多分に予測されるというのです。

そうなりますと,火災を起こした住戸の上の階の床の「アンボンドスラブ」をすべて壊して作り直さなければならなくなってしまいます。

今まで「アンボンドスラブ」のマンションで火災が起きていませんのでどの程度の被害が出るかは判りませんので構造設計者の話は実証できませんが理論から推測すればそうなる可能性は大です。

「アンボンドスラブ」工法が採用され始めたのは確か,今から20数年前だったと記憶しています。その後約10数年あちこちのマンションで採用されていましたが,現在首都圏のマンションではほとんど採用されなくなりました。やはり重量衝撃音の遮音性が悪く改良するのが難しいからだと思います。

マンションのクレームはほとんどが上下階や隣戸間の音の問題ですので注意致しましょう。

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