「矩計図」(かなばかりず)は重要

先日「億ション」の「現地同行」依頼を受けてモデルルーム・販売事務所に行って物件の「設計図書一式」をチェックした時の体験談をお話致します。

依頼者の方には事前にメールで事業主(売主)サイドに販売事務所で物件の「設計図書一式」を拝見できる様に頼んでおいて下さいとお願いしておきました。

処が,販売事務所へ行きましたらびっくり致しました。

販売事務所で見せてくれました「設計図書一式」は重要な図面がかなり省かれていました。

ここで,建築関係でない方に「設計図書一式」とは何かを御説明致します。

「設計図書一式」とは「意匠図」「構造図」「電気設備図」「給排水衛生設備図」「空調換気設備図」の事です。

更に詳しく申し上げますと「意匠図」で重要な図面は「共通仕様書」「特記仕様書」「仕上げ表」「敷地求積図」「配置図」「各階平面図」「立面図」「断面図」「矩計図」「各タイプ住戸平面詳細図」「各タイプ住戸展開図」「建具キープラン」「建具表」等です。

「構造図」「電気設備図」「給排水衛生設備図」「空調換気設備図」等で重要なのは最低でも「特記仕様書」は必要です。

上記の図面が無ければ工事はできませんし,工事請負契約書には添付されています。

先程,「意匠図」で重要な図面の中に「矩計図」(かなばかりず)と書きましたがこの図名を御存知無い方が多いので御説明致します。

「矩計図」とは建物を縦に切った「断面図」を更に詳細に書いた「断面詳細図」の一種でマンションの場合は建築確認申請に添付が義務付けられています。

この「矩計図」を見れば建物の内容がほとんど判りますので非常に重要な図面です。
この図面を見れば「二重床」「二重天井」が判り更にサッシュや扉の高さ等が一目瞭然です。

処が,販売事務所の方が持ってきました「設計図書一式」はとても厚さが薄く,「意匠図」は「配置図」「各階平面図」「立面図」「断面図」と「各タイプ住戸平面詳細図」だけでした。

「共通仕様書」「特記仕様書」「仕上げ表」「敷地求積図」「矩計図」「各タイプ住戸展開図」「建具キープラン」「建具表」等は抜けていました。

「構造図」「電気設備図」「給排水衛生設備図」や「空調換気設備図」はかなり図面が省かれていまして一番重要な「特記仕様書」も抜けていました。

上記の重要な図面が何故抜けているのかを,販売責任者に御聞きしても明快な回答が返ってきませんでした。

止むを得ず,見せて貰えた図面のみで私のチェックリストに記入して判定致しました。

判定結果はギリギリの合格点でしたが,依頼者が事業主(売主)に不信感をいだいてしまいました。

マンションは1住戸の販売価格が何千万円もする物件なのですから,何もやましい事がなければ「設計図書一式」はディスクローズ(公開)すべきです。

これを読まれて友人や知人の建築家に購入予定物件の「設計図書」をチェック依頼される方は事前に販売事務所に上記の図面が揃っているかを確認して下さい。

尚,この「設計図書一式」全てが販売事務所に有るか否かは購入予定者本人しか問い合わせができません。

私の様な付き添い者は問い合わせても回答が貰えないのが現状です。

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