「湾岸タワーの団地化懸念」

「東京大改造マップ2020」が日経BP社から発売され、ベストセラーになっている。
オリンピックを控え、変わりゆく未来の東京の全貌を明らかにしている。
期待先行の話が多い中、冷静に事実を積み上げている印象が強く、好感が持てる。
ちなみに、「マンション購入のポイント」として、私のインタビューも4頁ある。
本の詳細はこちら
http://www.amazon.co.jp/dp/4822274810/

この本は事実の積上げだと書いたが、
今後のマンション開発の20%以上が、湾岸のタワーと言うのは妙に違和感がある。
過去最多のシェアになるが、以前のピークは湾岸が割安だった2003年頃なのとはわけが違う。

まず、オリンピックで注目を浴びている湾岸エリアだが、発展には条件がある。
それは新規の鉄道の整備であり、これ無しには資産価値が上がる理由はない。
スポーツ施設を造っても住宅価値が上がらないことは、長野オリンピックの跡地の悲惨さが証明している。

それに、1万戸以上の大量供給が予定されており、量が多過ぎる。
それも価格が坪300万円近い水準になると、湾岸まで移住する意味は見出しにくい。
オリンピックが決まる前はその価格では全然売れずに閑古鳥だったではないか。

これ以外にも、林立し過ぎて、眺望が悪くなり、資産価値が落ちる物件や向きが多発するだろう。
昔の団地のような景観で閉塞感が生まれると、一部の眺望条件のいい住戸しか資産価値を維持できなくなるかもしれない。

最悪ケースは大量に余るケースだ。
販売期間が長いことで有名な売主のように、高い価格設定で大量に残戸が発生するとバルクでの安値販売、つまり暴落を招きかねない。
供給が増える時は、価格がリーズナブルであることが絶対条件になる。
分譲マンション市場における価格と供給戸数が反比例(逆相関)することは、業界人の常識だろう。

こうした理由で、湾岸のタワーマンションを買うことは慎重にならざるを得ない。
相続対策としての「タワーマンション節税」も、湾岸の物件は一定条件を満たさないと推奨していない。
タワー物件の過去の実績は優れていることは確かだが、将来を保証しているわけではない。
プロの目利きは本に書いてあるレベルではないので、状況をアップデートしながら原則論を大切にしてご検討頂きたい。

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