大震災後の不動産購入の注意(5/10)

東日本大震災は不動産購入の判断基準を大きく変えようとしています。
戸建では、液状化・不同沈下・ライフラインなど。
マンションでは、中高層階の揺れ・エレベータ停止・停電対策など。
立地では、地盤・通勤難民・計画停電地域など。
住宅設備では、オール電化・地震対策・停電対策・節電対策など。
考え始めたらきりがないくらいで、その中でのリスクの考え方で対処が異なります。

私が最も大事にするのは、自分ではどうすることもできないことを購入する際にリスクとして考えることです。
例えば、開口部の先が別の敷地の駐車場の場合、将来的に建物が視界を塞ぐ可能性があります。
これは自分がどんなに反対しても建設を止めることは非常に困難です。
逆に、事前に対策が取れるものや事後でも復旧できるものは、優先度が低いと考えましょう。

こう考える理由は、それがリセールバリュー(自分が売却する時の価格)に大きく影響するからです。
不同沈下を起こして、1度以上傾いた家には平衡感覚に支障があり、住めないと言われます。
そうすると、傾きを直すのに1000万円程度のお金をかけるか、更地にして売却するか、という選択になります。
これが、現実のリセール方法とその価格(バリュー)となります。
資産価値が大きく毀損すると、ローンを伴っているため、売却価格+現金がローン残債額を上回る必要があります。
姉歯事件にあるように、構造の問題は、流動性(売却すること)を失い、リセールバリューが一時的に0になります。
地盤の問題も、持家として買ってくれる人がいなくなる、もしくは極端に少なるリスクがある場合には避けるべきです。
分譲マンションはたいていの場合(全部ではない)、固い地盤まで杭を打っているので、建物のリスクは低いことは今回の震災でも証明されています。

先日、浜岡原発の停止が発表されましたが、東海地震で原発事故が起こると、偏西風で首都圏に放射性物質が降ることが想定されます。
住む人の減少は避けられず、需給バランスを崩し、東京周辺の不動産価格(リセールバリュー)が大幅に下落することになります。
こうなると、金利の高騰や雇用の消失などに波及することも否定できません。
いわば、カントリーリスクであった訳で、この意味で浜岡原発の停止は、首都圏の不動産購入者には大きなリスク回避になったと考えています。

最後に、実践的な注意を一つ書いておきます。
新築分譲される物件は、マンションであれ、戸建であれ、土地価格+建築費+販売経費+売主の利益=積算価格が分譲価格となります。
これが市場価値を表す訳ではないので、中古市場の価格、それも3.11以降の成約事例の価格を不動産屋さんなどに確認して下さい。
街の仲介業者さんでも、レインズという実際の取引価格を調べることができます。取引されている価格、これがリセールバリューの目安となりますから。

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